サツマイモ栽培における土壌分析結果の活用

土壌分析結果から現在残っている肥料成分量を計算

まずは、土壌分析でよく用いられる「mg/100g」という単位からの10a当りkg換算する。

10a(1,000 ㎡)の深さ10cm(0.1m)当たりの土壌の量(kg)
1,000×0.1×仮比重×1,000=100,000×仮比重=105×仮比重(kg/10a)

分析値 (mg/100g) → (kg/kg)の換算
10×0.001×0.001=10-5 (kg/kg)

つまり、分析値をAとすると、
A×10-5×105×仮比重 → A×仮比重(kg/10a/10cm)
となり、分析値×仮比重が10a当たり、深さ10 ㎝当たりの㎏量となる。

仮比重とはほ場状態での土壌1mL 中の乾土重のことで、物理性の分析結果として出てくるが、分析結果がない場合は、次の土質別の仮比重の目安を使って計算する。同じ土質でも有機物の施用量が多く、土壌の孔隙率が多く、物理性が良くなるにつれ、仮比重は小さくなる。

火山灰土壌(黒ボク土) 0.7
火山性砂土壌 0.8
沖積土壌 0.9
砂土、重粘土壌 1.1

分析値と施肥量の簡易計算方法

土壌分析値に応じた施肥量の計算方法は次の通り、
土壌分析値:A mg/100g
施肥基準値:S kg/10a
作土深:D cm
仮比重:W

施肥量(kg/10a)= S – A × D / 10 × W

具体的な計算内容

サツマイモの施肥基準値を N:P:K=3:8:12とする。
黒ボク土 で、土壌分析の結果、 N:P:K=2.4:86.1:48.9 (mg/100g)だったとする。

サツマイモ畑土壌の化学性は、改善基準値の範囲(リン酸:20~60mg/100g、カリ:25~40mg/100g〈腐植質黒ボク土の場合〉)に収めるため、以下の通り計算する。

窒素

問題のない範囲なので施肥は不要。(6kg/10aぐらいまでなら蔓ぼけにもならないはず)

リン酸


改善基準値(20~60mg)を超えている場合、植物体吸収量分のみを施肥(約3.4kg)。
100mgを超えている場合は施肥の効果は少ないため、無施肥で構わない。

カリウム

分析値から 改善基準値(25~40mg) の上限値を引いた数字をもとに計算を行う。
S – (A – 40) × W → 12 – (48.9 – 40) × 0.8 = 12 – 7.12 = 4.88 (kg/10a)

【参考】
・生産資材費高騰に対する技術支援マニュアル – 肥料費の低減策 – 土壌診断に基づく施肥
https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/nosose/cont/img/2-3-1.pdf
カンショべニアズマ」「べにはるか」の外観品質向上マニュアル
https://www.pref.ibaraki.jp/nourinsuisan/nosose/cont/img/file377.pdf
・土壌・作物栄養診断マニュアル – 土壌の診断基準 – 茨城県
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kankyo/hozen_type/h_sehi_kizyun/attach/pdf/ibaraki01-3.pdf
・全国減肥基準からみた土壌リン酸およびカリウムにおける減肥の指標値と100%減肥とする基準値(案)
https://agriknowledge.affrc.go.jp/RN/2010870710.pdf